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(略称:竹筬研究会)
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 20年度の総会も終わり、21年度の活動が始まりました。助成金は300万円の内定があり、「試作竹筬による織布展」の沖縄巡回が下記のように決まりました。第一回の岐阜県穂積町(現・瑞穂市)での作品展に、現在試織中の染織家の方々の作品を加えた作品展になります。第一回で羽割れを含む問題のあった試作竹筬は貴重な反省を含む勉強材料の資料として保存いたします。幸いその原因も豊田義雄さんに指摘していただき、当り前のこと、二番引きの大切さ、皮を限りなく薄く取ることの大切さを徹底していこうと思います。陸雄さんが亡くなり、義雄さんが研修に参加できなくなった状態で、会員自身が良いと判断し、製作した竹筬が2反目の試織で羽割れという結果が1枚でも出た以上、その染織家の方に対してはもちろんのこと、会の反省も含め原点に戻り、精度を高める日々の努力をしなくてはならないと強く思います。自分のした仕事で問題が生じれば、その信用回復のため、さらに研修努力を重ね、より精度の高い仕事をめざす、そんな当り前の気持ちのある方のみが、自分用ではなく、他の人に譲れる竹筬を作る資格があるとの考えで、今後の研修は前進いたします。そのことはすでに始めており、羽切り前の上引きした筬羽を原点に戻り、義雄さんに検査していただき、良いといわれた筬羽のみ、試織用や譲る竹筬として出していきます。竹筬研究会には本年より研修部門に加え、染織家の皆様が一番希望されている実際に竹筬を譲ることを前提にした「製作・普及部門」ができ、もうこの部門も実際に活動を始めています。会員の西尾一三さんと森田英史さんが引かれた筬羽を義雄さんが検査、その検査済みの筬羽を西尾さんと筬熊リードの小嶋孝幸さんが仕上げ、組みは特別会員の大橋滋さんと小嶋さんで今後の竹筬研究会の竹筬は製作し、試織していただける方、正会員、賛助会員という順番で試織を重ねながら竹筬普及の範囲を広げ、竹筬復活につなげていきたいと思います。沖縄展では「製作・普及部門」製作の譲れる竹筬が展示できればと考えております。研修部門におきましては角浦節子さん・西尾一三さん・大橋滋さんによる新入会された会員を含めた研修が瑞穂市生津外宮前町1-120の新しい研修作業所で始まっており、この作業所は上下で53坪の広さ、宿泊も10名程度叶ですので、近い将来、竹筬の資料・染織道具類・糸車・ねん糸機等の動く資料館として活用の予定で、そのお知らせはまた染織情報αのインフォメーション欄をご注目下さい。


第二回試作竹筬による織布展・沖縄
2009年9月25日(金)〜27日(日)
沖縄県立博物館・美術館一階 講座室



(2009.6.23 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2009年8月号より
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 全国で唯一の竹筬羽の生産地で最後の竹筬産地であった岐阜県穂積町(現・瑞穂市)で3月13日から15日まで開催された「試作竹筬による織布展」は会員の協力と努力、そして竹筬を持っておられる染織家、織物愛好家、地元瑞穂市民の方々、合わせて3日間で約800人の来場があり、大きな成果を持って終えることが出来ました。また、新規加入もいただき、21年度の次なる目標。、竹筬復活への確かな一歩になりました。試織作品の結果は約9割の方々の竹筬は問題がなく、3作目4作目と経過を重ねていただく結果待ち、また1割4名の方達からは試織していて少し気になったところがあったとのご意見、芭蕉布の平良さんよりは仮筬では使用していただけましたが試織には不安とのご意見もあり、クリアーすべき点はまだあります。ただ、試織結果の良かった方達からは竹筬のご注文があり、21年度より譲ることも含めた研究会の体制作りをいたします。最初はまだ試織をお願いしつつの竹筬販売という状態ではありますが、より研修を重ね宮古上布・越後上布・小千谷縮・久留米絣・大島紬といったより精度を要求される織物にも対応できる竹筬をめざしたいと思います。大成功の内に終わりました今回の作品展、反省すべき点もありました。当研究会としては初めての作品展であり、予想外の来客者で毎日が大変だったのですが、また多くの会員が遠方よりの人が多く、帰りの時間の制限もあり、終了後の時間に約40点もの作品と試作竹筬が並ぶ貴重な機会の会場で、一度も会員同士の研修勉強会がもてなかったこと、残念な思いがいたしました。4月以降の研修では何回かは、提供試織布と竹筬(現物は各自に返却)についての勉強会を実施したいと思います。どの試織布も貴重な参考裂で会員以外の方の研修見学も大歓迎ですので、是非研修会場へお越し下さい。また21年度も申請していました助成金の内定通知をいただき「試作竹筬による織布展」の東京と沖縄での開催が決定いたしました。また今回の作品展をDVDに編集しており、無料貸出しを予定しております。どうぞ染織情報αのこの広告欄、あるいはインフォメーション欄をご注目下さい。今回の作品展、本当に多くの方達、また遠方より来ていただきありがとうございました。より精度の高い竹筬を目指し研修を重ねて行きたいと思います。


(2009.4.16 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2009年6月号より


 3月13日〜15日までの竹筬展。依頼しておりました試織布と試作竹筬が、順次送られてきています。9割は合格、1割は不安でしょうか。喜如嘉の芭蕉布織物工房では仮筬での使用では問題は生じませんでしたが、本織りでは不安というご返事。再度研究会は精度の高い竹筬に挑戦したいと思います。筬の良否は使用者(織物家)の糸・織物・文様等により職人の竹筬でも否になる場合もあり、またプロでない人の完成度の低い竹筬でも良いという場合もあり、その判断は竹筬の形を見て100%わかるものではなく、織ってみて、結果が良なら100%良、途中で経糸を切らなくてはいけない結果や織物に筬目等の欠点がでた時は100%否ということになります。ただ筬目欠点のでる竹筬であっても、手績み麻糸・手紡ぎ木綿糸・真綿紬糸等を経糸に使用する場合や密度のあらい織物なら、まず問題はないと思います。ただ紋様が十字亀甲等の点で表現する織物の場合は否という事で、これからの竹筬は、今までの織産地のプロと竹筬製作のプロとのいつも通りの規格では捉えきれない別の基準での竹筬作りになると思います。染織家の方はご自分の特に経糸の事と竹筬の製作上の事、また竹筬製作者は織物の事、糸の事等を勉強し、十分理解した上で竹筬製作をしなければいけないと思います。ご指導いただいている理事でもある筬組み(機械組み)職人・大橋滋さんのご指摘もあり、まだ甦っていない(売り物としての精度)という事で「甦らせるぞ・竹筬」になりました。今回の竹筬と織布展が成功の内に終わりましたら、21年度は東京展と沖縄展を計画しており、毎年竹筬研究会の成果と織物結果を見ていただく巡回展にしていければと考えております。どうぞまた、ご意見と情報をお願いいたします。

 最近、豊田義雄さんによる機械引きによる作業風景のビデオテープが見つかり、その作業内容を義雄さんに解説いただきました。竹材の二つ割り工程・荒引きと幅取りが1回で出来る工程・一番重要な二番引きと皮引きはそれぞれ専用の機械の計4台の機械工程です。筬羽の羽切り前の仕上げ引き(上引き)だけは筬羽検査を兼ね、銑による手引きでした。竹材の乾燥手順も今までお聞きし実践した方法とは全く逆の発想で、仕上げ引き後の薄い竹ベラでの3日程度の乾燥、唯一竹筬羽作りを機械化された義雄さんの改革心と改新的技術に感服いたしました。我々もこの義雄さんの考え方や機械化にも力を入れないといけないと思います。義雄さんの映像と生の声の解説ビデオは貴重で大切な財産だと思います。

 当研究会の当初よりの技術の先生、豊田陸雄さんが、今日、亡くなられました。ご冥福をお祈りすると共に、その技術を次に伝え竹筬を必ず復活させたいと思います。


(2009.2.24 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2009年4月号より




11月18日、今里哲久さん、西尾一三さん、角浦節子さん、下村輝の4人で新潟県小千谷の織物組合へ出発、重要無形文化財・越後上布・小千谷縮布技術保存協会の方達と、加えて平成5年に廃業された地元の筬屋・伊部敏雄さんを交えて調査及び我々の実技報告、そして意見交換いたしました。無形文化財指定の織物は地機で竹筬を使用、その竹筬は両産地の織物紋様合せの精度の考慮からでしょうか、高機用の精度の高い岐阜県祖父江の竹筬と同じです。両産地に「からむし(苧麻)」を供給している福島県昭和村では、地機で昔ながらの地機用竹筬を今でも使用していることを考えますと、筬はその地の織物によって筬の種類・精度が違っています。小千谷と越後の苧麻の糸績み方法は同じ、しかし宮古や石垣とは少し違っていました。竹筬は糸の特徴、すなわち結び方も含めた糸作り、より掛け、ノリ付け、地機か高機、精度も織物産地により違います。それに合わせて竹筬を製作してこそ、本当に応えた事になると思います。小千谷縮は縮ゆえ、麻ですが糸を濡らして織りません。しかし越後上布は濡らして織ります。ゆえに竹筬羽に付いたノリ落しのため、製織後、お湯を使いブラシで筬羽を洗うとの事でした。このことは筬羽を供給していた岐阜でも想定外だったのでは、伊部さんが赤焼の筬羽を使用ということは少し理解できました。越後上布では筬羽のくせが出た竹筬は使いたくないのは、精巧な亀甲絣紋様が合わせにくく、時には合わせられないからです。普通のタテ絣やヨコ絣なら十分でしょうが、十字絣、点絣、精密な絵絣になりますと筬羽のくせ、歪みは許されない事になり、研究会の最終精度の目標、大島紬(絹)、宮古上布(苧麻)、今回の竹筬にとって過酷な使用の越後上布(苧麻)の試織結果が可といわれた時、本当に竹筬が甦ったといえると思います。その目標を持ちつつ、一日も早く皆様へ竹筬がお譲りできるよう研修を重ねたいと思います。3月13日〜15日の「試作竹筬による織布展」岐阜県瑞穂市へ是非お出かけ頂きたいと思います。


竹筬はまだ販売しておりません


 現在、研究会では修理や組替えは受付中。竹筬は約20名の方達に試織依頼、その結果発表が3月の「試作竹筬による織布展」その後に販売が見えてくると考えております。インターネットや他の情報で竹筬販売を耳にします。その竹筬は誰が試織したか尋ねて購入を考慮してください。「竹筬」という事だけで購入は要注意です。まだ多くの問題点があると我々は考えております。いろいろな竹筬の情報、お知らせください。

(2008.12.18 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2009年2月号より

 竹筬研究会が発足して6年、賛助会員や準会員、また会員ではなくても古い竹筬資料の提供、いろいろな竹筬の情報の提供、ご意見やご助言をいただいた皆様へ、直接、会の活動や会計を報告する手段は持っていませんでしたが、9月に会報「竹筬」第1号が創刊でき、今までお世話になりました皆様へお送りすることができました。年1回の発行予定ではありますが、20年度はもう1回「竹筬と織物展(仮称)」の臨時号を発行いたします。
 現在試作中の竹筬による試織をお願いしている約20名の染織家の方達の織物をお借りし、併せて会員による試織織物による「竹筬と織物展」を2009年3月13日(金)〜15日(日)、研修地である岐阜県瑞穂市の総合センターで開催いたします。年内にはほとんどの方の試織結果が出、その結果をふまえて、具体的に内容を決定し「竹筬と織物展」を成功させたいと思います。そして次なる目標、竹筬を譲れる体制作りへと進んでいきたいと思います。
 現時点では「竹筬と織物展」のサブタイトルで「甦る竹筬」という案が出たのですが、お教えいただいている職人さんから、まだ100%甦った技術レベルの竹筬ではないので、「甦れ!竹筬」になりました。プロの職人さんから見れば、あと少し頑張りなさいという厳しくもあり、ありがたいご意見であり、研修生一同、3月の発表会めざし、さらなる努力をし「甦った竹筬」と言っていただけるよう毎日の研修を重ねねばと思います。ただ試織をお願いしている方達からは、問題はなかった、あるいは譲ってほしいとの良い結果のご返事もいただいており、研究会のレベルが、ほぼ使用に耐えうる実用的な竹筬になりつつあることも実感しており、希望を持って3月に向かって進んでおります。

 会報の創刊号(コピー)を無料で送ります。ご住所とお名前をお伝えください。

(2008.10.22 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2008年12月号より



 7月9日、福島県会津のからむし織の里・昭和村へ竹筬の調査も兼ね特別講習で訪ねました。昭和村は竹筬研究会が竹筬を依頼されている越後上布・小千谷縮にからむし(苧麻)を栽培し提供している本州における唯一の生産地です。上布といわれる繊細な織物は越後と小千谷といった織産地で昭和村の苧麻を苧績みし織られていますが、その昭和村では素朴な昔のからむし織が残っていました。からむし織の里のからむし工芸博物館ではからむし織に使用されている地機と竹筬を拝見、昔ながらの地機専用の竹筬が修理をしながら実際に織姫交流館や地元の方達のからむし織に使用されています。それに近い竹筬は以前名古屋の九鬼良孝さんより提供され、その地機の竹筬が現在実際に使われていた事実は驚きで、そのことは帰りに寄った文化庁の文化財調査官の方々にもお伝えしました。越後からの試作竹筬のための参考竹筬が現在の高機用と同じでしたから、もう一度地機用の竹筬は見直さないといけないのではと思います。竹筬研究会の今後の研究として、地機用の竹筬復興も課題になりそうです。昭和村からむし生産技術保存協会から、地機用の竹筬修理を依頼され、その修理技術も研究会の課題になりそうです。その資料として昭和村在住の会津地方で百年、2百年の古民家解体と再生普及そしてペンションをしておられる會津古木屋の小林政一さんに会津地方の地機用の竹筬・カマチ・長刀杼を依頼し、それらは現在出所も含めて研究会に届いております。そんな今回の昭和村の成果を持って、越後上布・小千谷縮への竹筬調査復興へとつなげていきたいと思います。小林さんには古い地機や機道具も探していただけ、またご夫婦には野生の日本茜を苧麻同様、畑での栽培をお願いして帰ってまいりました。

■竹筬に関するご要望ご意見をお聞かせ下さい
 現在、竹筬研究会では技術の伝承から、より具体的な竹筬を譲れる状態になりつつあり、その一つの区切りが来年3月13日(金)〜15日(日)の試作竹筬による織物展で、すでに試織された方より竹筬を譲って欲しいといわれておりますが、もう少し試織回数を重ねてからと考えております。それまでの半年間に出来つつある竹筬をどうするのか検討中ですが、皆様のご意見もぜひお聞かせいただければ幸いです。

2008.8.22 下村輝 記

染織と生活社『染織情報α』2008年10月号より


連絡先:
Tel&Fax 075-313-1348
E-mail takeosa200307@yahoo.co.jp


 京都相国寺承天閣美術館での105歳で亡くなられた山口伊太郎さんの遺作展・源氏物語錦織絵巻の期間中に特別企画された「人ともの」の物語講演会の中で竹筬研究会は6月5日より1週間、原料竹材・工程別の製作竹材・研究会員による試作竹筬・修理竹筬・アジアの参考竹筬を展示、併せて岐阜県祖父江に残っておられます職人さんたちがご使用になった正直台をはじめとした道具類の展示、それを基に復元し、現会員が使用の道具類も展示いたしました。とくに7日と8日は会員・角浦さん、今枝さん、西尾さんによる実技講演を実施、8日はさらに特別会員・大橋さんによる竹筬修理のお申し込みも受付け、丹波青垣町の丹波布伝承館の方たちからは試作竹筬による試織のご希望もあり、来年の「竹筬と織展」に広がりができました。加えて、以前沖縄を主として竹筬のアンケート調査を会場でも実施でき、改めて竹筬研究会の活動や現状を公開し、広く染織の方たちと交流でき、竹筬のことを良く理解していただけた1週間だったと思います。特別展ではわれわれ研究会の活動に加え、信州岡谷より製糸の宮坂照彦さん、糸染色の岡本芳明さん、私は絹糸とねん糸と道具の話し、普段なかなか聞く機会のない職人さんたちの実技を含むお話があり、源氏物語錦絵巻の鑑賞と併せて充実した1週間でした。
※7月2日よりは会員であり、現在、奄美大島紬の研修生であり、竹筬研究会ホームページ担当の鳥居さんが奄美で竹筬の写真展をいたします。
※7月9日には福島県昭和村の依頼で竹筬の現状と報告会をいたします。9月15日、16日の第8回東京スピニングパーティーでは、竹筬を含む道具の紹介にも力を入れたいと思います。

(2008.6.20 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2008年8月号より

注:奄美大島での写真展は7月22日から行いました



 竹筬研究会も6年目、ホームページでも情報をご覧いただけます。今年の目標は試作竹筬による約20名の方達による試織織物を地元の岐阜県瑞穂市にて「竹筬と織物展」を開催する事、そのための竹筬作りに向けて会員各位、研修を重ねております。その裏付けとなる20年度の芸術文化振興基金の助成金も300万円の内定を受け、織物展がより具体化でき、竹筬復活への手応えを皆様に知っていただく最良の方法と考え計画いたしました。加えて職人技、技術の要点を書き取り、新たな後継者の方達のテキストとなる「竹筬作りの覚書」と映像記録作り。また重要無形文化財保持団体の越後上布・小千谷縮布、久留米絣への竹筬調査と竹筬作り。特に久留米絣につきましては、竹筬羽を使った絵絣用の種糸台の製作も今年の目標として取り組んでいます。
 研究会の現在の竹筬の現状と報告は、まず5月24日、25日の信州の松本クラフトフェアで下村ねん糸が情報資料コーナーに出展。6月に入りますと、6月5日より約1週間、竹筬研究会は、その中の7日(土)8日(日)は実技報告、特に8日は特別会員の筬組み職人・大橋さんによる竹筬の修理も受け付けます。会場は京都市内の相国寺承天閣美術館で4月27日から7月6日まで開催されている「山口伊太郎(105歳)遺作展・源氏物語錦絵絵巻』展に隣接した二階講堂です。

(2008.4.15 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2008年6月号より



 昨年の10月号よりの絹通信もNo.7、2ヶ月に1回の割合ですから2年目に入ります。この1年間は竹筬研究会のあゆみと報告でした。竹筬研究会の岐阜県瑞穂市祖父江における技術研修会は、現在月2回の割合で約10名前後の方が見学も応援者も含めて参加されています。2月号で竹筬の復興を支える会員募集をインフォメーション欄に載せていただき、産地の技術者であり技術研修していただける特別会員、竹筬の製造技術を研修し伝承者希望の正会員、応援団であり協力者であり賛同者である準会員や賛助会員のご入会で会としての体制も整い、4月には芸術文化振興基金の援助金交付の要望書に対して480万円の助成金交付の内定があり、準会員や賛助会員にご入会いただきました方達の会員のご協力もあり、経済的な裏付けのあるサポート体制ができました。具体的には正会員の方達の研修活動費用や、研修していただいている特別会員の方達への研修費用、竹材料の購入費、そして今一番大切な銑(セン)をはじめとする道具類の復興と制作費に当あてることができ、一歩ずつですが竹筬復興へ向けての会の活動は進んでいます。今一番進んでおられる合原さんは、木綿用の800本程度のタテ糸の竹筬試作品を完成され、その試織を他の会員さんにしていただきました。他のスタートの遅かった方達は合原さんを目標に豊田陸雄さん、義雄さん達の研修を受けられ、さらに自宅で技術研修の練習をしていただくために刃物と正直台の製作を進めています。この道具が正会員の皆様にゆき渡りますと、技術のスピードがぐっと高くなり、面取りや焼き入れといった筬羽の仕上げ工程へ進めます。その先の筬組工程の研修まで、まだ先は遠いのですが、試作品もできておりますので次は会としての全体のレベルを一段と高め技術研修をしていただき、完成度の高い竹筬の復興を目指したいと思います。
※入会および研修見学は随時受け付けていますのでご連絡ください。また、竹筬や竹に関する情報もよろしくお願いいたします。


 竹筬研究会の理事であり副会長でもありました、知多木綿グループの竹筬の中心的存在で、会でも中心的な役割と竹の技術を持っておられた平野豊さんが6月24日に急死されました。この会の最初から竹筬復興に向けて一緒に活動し、特に道具にはじまる技術的な面を担当していただいておりました。本当に残念な思いですが平野さんが担当し残していただいた刃物・銑が先日できあがり、その思いと共に楽しかった研修時のことも含めて新たな思いで竹筬復興を目指したいと思います。なお、7月19日の研修会にての理事会で副会長に合原厚さん、理事に石川博之さんを選出させていただき、お二人にはご了承をいただきましたことをご報告いたします。
(8月23日記)

竹筬研究会会長 下村輝


『月刊染織α』(染織と生活社)2004年10月号#283掲載 p.75



 竹筬研究会の研修は、新しく竹筬作りを希望される正会員の方が3名加わり、現在10名。4月からは月2回のペースで進んでいます。現在は主に筬羽の厚みをそろえるための引く工程、荒引き、2番引き、皮取り、上引きの4工程であるのですが、そのための道具である正直台、その上にセットされている刃物・銑(せん)の調整を、豊田陸雄さんと義雄さんにご教授いただいております。銑は4組の「くさび」を使って、それぞれの工程の目的の厚みに引けるよう固定して引き、鯨2分のゲージマスに決められた枚数が入らないといけないのですが、引く角度によっても武の厚みは変化してしまいます。ですが、これが修得できなければ、次の仕上げ工程や、その先の筬組み工程へは進めません。月2回の限られた研修期間だけでは、経験することに限界があり、今ある道具を参考に、正会員の平野豊さんが刃物を含めた道具類の複製を試作され、陸雄さんの許可のもと発注。これができますと、正会員の方たちは自宅で自前の道具での研修が可能になります。会員の中で今、一番進んでおられる合原厚さんが独自の工夫で数枚の竹筬を組まれ、豊田亨さんに組方の道具やノウハウを研修されており、竹筬の復興に希望が持てつつあります。この6月30日には滋賀県安曇川町の「扇骨」の所へ竹ベラ作りの参考技術を見学に行きます。また、5月には奈良県立民俗博物館大和民俗公園の横山浩子さんより,古代の瓦作りのための麻布作りの際に竹筬を作られた報告が、民俗博物館研究紀要第20号に掲載されました。お送りいただいたその本、「竹筬製作に関する資料と製作の試み」は、われわれの研修にも大変参考になる貴重な資料でした。また、この研究会が組織される以前に中国に強い友人に依頼していた中国の竹筬が、一応、麻用ということなのですが、絹用の羽数までの竹筬もできており、5月のクラフトフェア松本で販売され、完成度の確認のため、木綿用と絹用の試作を発注することにしております。いろいろなところで、いろいろな試みがなされていること、心強い限りです。また、情報の提供もお願いします。
(6月21日紀)


『月刊染織α』(染織と生活社)2004年08月号#281掲載 p.72



竹筬研究会の会員募集を「染織α」でしていただいた結果、資料を送付する方が60名程度になり、送付は3月末になってしまいましたが、4月に入り順次、会員のお申し込みをいただくようになり、回避という経済的な裏付けをいただいての応援団になってきています。その中には竹筬羽作りに挑戦してみたいという方が3名おられますし、扇の竹の部分:扇骨(センコツ)の職人さんに、竹筬羽作りを依頼され試作見本を送ってこられた方もおられ、別の竹世界の技術の方との広がりも出てきています。さらに今月(4月)10日には心強い連絡がありました。昨年12月に平成16年度の芸術文化振興基金に助成金交付要望書を出していたのですが、まだ内定とはいうことですが、478.1万円の要望のところ、450万円という連絡があり、竹筬および竹筬羽製造技術の保存と継承、そのための記録作成のための助成金が受けられそうです。それに研究会に加入していただきました会員の皆様方の会費、予定ですが約50万円を加えて約500万円という資金が竹筬を復興を目指す研修希望者のための費用として使用できることになります。今まで研修者の方たいの個人負担で活動していたことが、公的な面で認知され、活動できることになりました。これまでいろいろな面から応援していただいた皆様のおかげで、大きな助成をしていただくことができましたことを、お礼申し上げるとともに、またいろいろなご助言、ご意見と情報もよろしくお願い申し上げます。この月末には祖父江で研修会を再度開く予定でおり、内定とはいえ、お金のことも含めた活動内容を具体的に相談して決定し、活動していきたいと思います。
(4月18日記)


『月刊染織α』(染織と生活社)2004年06月号#279掲載 p.74


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