忍者ブログ
(略称:竹筬研究会)
[2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。




 22年度3月の月2回(原則的に第1土曜と第3土曜日)の研修が始まりました。芸術文化振興基金へ申請いたしました23年度の助成金交付要望書の内定の返事もあり、大震災などの状況を考えれば、減額もいたしかたないと考えておりました私にとって、22年度より50万円もアップの400万円という内定の数字は、基金の研究会に対する今までの実績と23年度の期待と要望を強く感じます。23年度は竹筬が復活する年、そんな気持ちで日々の研修と研究会の運営をし、答えを出すべき年度だと思います。
 
 22年度は本当に技術の精度が高くなった1年でした。現役の筬羽引きの職人さん、豊田陸雄さんが亡くなられたあと、その後、幸いにも、元筬羽引きの職人さんで、筬羽引きの機械を設計され、製作され使用されて精度の高い主に千四の筬羽を製作されておられた豊田義雄さんの正確できびしい助言と検査を直接受ける機会に恵まれ、その助言と検査に日々の研修と技術で応えられた会員の森武さんと西尾一三さんの筬羽引き、そして現役の筬組み職人である大橋滋さんの指導のもと、小嶋孝幸さんの焼きを含む仕上げ工程とアサノ式編筬機による機械組みの充実は日本竹筬工業の良い竹筬が作られていた時代の竹筬の精度に近い竹筬ができつつあると考えております。今、私の染織仲間である染織家が鯨寸67羽の試作竹筬を製作しています。この竹筬で試織結果にOKが出れば、織物産地の試織用竹筬に挑戦いたします。新たな問題もあります。原材料の竹材の質、そして部材の筬組みのための張り撚り式による特殊撚糸の綿糸の入手が困難になりつつあります。伝統産業、伝統技術の世界では、今まで当たり前に入手できたものが、ある日突然に入手できなくなることも当たり前になりつつあります。一層の技術研修はもちろん、ネットワーク、情報発信、情報入手、情報交換など重要と考えます。

 23年度もどうぞよろしくお願いいたします。



(2011.04.21 下村輝 記)
PR





 22年度の研究会の研修も、あと2回になり、ほとんどの正会員の方の自分用の竹筬製作も、最後の組み工程に入りつつあります。また、23年の芸術文化振興基金への助成金交付要望書の提出も終わり、その結果の返事待ちの状態です。この1年間の研究会の研修システムの中で、一番の朗報は、正会員・森武さんの竹筬羽引きの精度の高い技術の習得です。元・竹筬羽引きの職人さんで、制度を要求される千四百の筬羽を引いておられた特別会員・豊田義雄さんの一番きびしい筬羽検査に、まだ100%の合格ではありませんが、95%の精度の高い竹筬羽を引かれる森さんの現在の技術は、23年度の約半年の日々の研修と結果の積み重ねでクリアーできると私は確信を持って期待しています。すでに竹筬研究会・普及部で試験も兼ねて段階的に竹筬をお譲りしていますが、併せて、今まで研究会が製作した試織用竹筬の結果、そして森さんが引かれた筬羽が100%の確率で義雄さんの合格がいただけ、検査の必要性がなくなった時、研究会は次の目標、文化庁の助言と要望の織物産地(宮古上布・芭蕉布・久米島紬・久留米絣・小千谷縮・越後上布・結城紬)、そして八重山上布・大島紬などの試作竹筬に挑戦し、試織を依頼し、各産地が必要とする竹筬を製作できて初めて、本当に竹筬が復活したといえると思います。製作過程の問題としては筬羽引きの省力化、機械化をめざし、滋賀県の高島扇骨、京都の扇骨製造業者さんと連携をはかり、昔、竹筬羽の故郷であり当研究会の研修場所である岐阜県穂積町(現・瑞穂市)で唯一機械化されておりました義雄さんの筬羽引き機械の復活、また良い竹筬には良い竹材が必要ということで、去年末に京都の嵯峨の竹材を当っております。仕上げおよび焼き工程の精度も、森さんの筬羽引きの合格数により一段と向上すると思います。機械組み用のアサノ式編筬機のための歯車も製作でき、機械は調整しつつ組みができつつあります。いろいろな面で、竹筬復活が現実のものになりつつあります。中日新聞の岐阜支局から竹筬と職人さんについての取材依頼もあり、地元の応援と支持も良い形で得られつつあります。

 23年度の当研究会の目標は、良い竹材の確保、竹筬の作り手と使い手との連携、竹筬製作のための銑をはじめとする道具類の確保、そして竹筬作りを支えるネットワークの構築です。それらの実現も含めて技術の研修を重ね、竹筬復活を目指したいと思います。今後ともいろいろな情報とご意見、ご参加をお願いいたします。




(2011.02.23 下村輝 記)



 10月の横浜シルク博物館、11月の地元岐阜県瑞穂市での「試作竹筬と織布展」も終わり、残り3ヶ月間、23年度に向けて、さらなる試織竹筬の制作に力を入れ、竹筬復活を目標に研修を重ねていく覚悟です。22年度の一番の成果は特別会員の豊田義雄さんとの交流で、1月に94歳に成られ、ご高齢ではありますが、月2回の岐阜での研修日の行き、または帰り、時には行き帰りともご自宅にお寄りして、会員が引きました筬羽の評価や道具も含めた竹筬製作におけるあらゆる助言をしていただき、その評価は大変厳しいものですが、その成果はもう少しで竹筬復活の一歩手前の状況、義雄さんの絶対的な評価をいただけた時、竹筬は技術的には復活したといえます。22年度の研究会の活動を振り返りますと、8年目にして、本物の道具、竹筬の重要性、そして的確な助言による経験と研修を積み重ねてこそ本物の竹筬とは何かということを自覚する1年でした。道具では一番重要な刃物、銑と金板の使い方、今までの銑は形だけをまねた刃物だったとはいえ、本物の竹専用の刃物職人さんに出会え、砥石もその本物の銑に合った青砥を購入できました。正直台もしかり、義雄さんの実物と助言をもとに会員・森武さんが試行錯誤し、自分に合った完成度の高い正直台を目指しております。筬羽規格表も約60項目ある約半数の30項目が、義雄さんのアドバイスで訂正が必要になりました。竹材も日本の山林が荒れている現状では決して良い状況ではなく、竹筬羽に適した竹材探しが今後も続きます。問題と困難はありますが、一つ一つをクリアーし、技術の積み重ねと確かな技術の裏付けがあって、初めて竹筬が復活したといえ、その日がそう遠くないことも実感しております。
 新しい動きもありました。2回目の地元での竹筬展を開催したことで、地元瑞穂市でボランティア活動をしておられる方のご助言で地元の市会議員の方、商工会、文化財保存審議会の方といった行政の方達に竹筬に対する認識を持っていただくことができ、来年度は地元の応援も少しは期待できるような状況になりつつあります。また、竹筬羽製作の技術を生かした考古学で埋蔵文化財の調査に使います形を写す用具・真弧(まこ)用の竹筬羽の製作依頼もあり、竹筬製作はもちろんのこと、以前から続けております絵絣台と合わせて研究会の研究テーマとして挑戦し、その技術を保存し継続していきたいと思います。また、いろいろな情報、ご意見を当研究会にお寄せください。



(2010.12.20 下村輝 記)
  



 第4回「試作竹筬と織布展」は横浜シルク博物館で10月19日から24日までの6日間開催、第5回は竹筬研究会の研修場所のある最後の竹筬及び竹筬羽の故郷・岐阜県穂積町(現・瑞穂市)の総合センターあじさいホールで11月18日から20日までの3日間、2回目の「試作竹筬と織布展」を開催いたします。横浜での竹筬展には2枚目での試作竹筬による試織布を3名の方達に出展していただけ、その中で都機工房の志村ふくみさん、洋子さんの試織結果は10反以上の実績報告をいただいており、試織結果の織布裂も6枚お送りいただき、一段と充実した竹筬展になりました。以前には3枚割れました竹筬羽の精度も一段と高まりましたし、筬羽引きの岐阜市の正会員・森武さんの技術の向上には、まだ2年ではあるのですが、目を見張るものがあり、充分期待でき信頼できる力量だと思っております。第1工程の筬羽引きは森武さん、第2工程の焼きと仕上げ、そして第3工程の筬組みは金筬の製造をし、筬の役割を認識し、竹筬復活に情熱を持ち、仕事として継続していく心で研修を積み重ねている若い筬職人の小嶋孝幸さんのラインで竹筬復活が現実のものになりつつあります。今年度、組織した製作普及部の竹筬も5点出展、この竹筬でも試織をお願いし、10反以上の実績結果を得て、初めてゆずれる竹筬が製作できたとの考えで、研修を重ねており竹筬復活と販売に手応えを十分感じております。併せて23年度の目標、それが精度の技術的な最終目標なのですが、文化庁が認定され指定されている染織産地の宮古上布・芭蕉布・小千谷縮・越後上布そして結城紬、加えて大島紬の竹筬の精度を要求される産地の試作竹筬に挑戦し、試織をお願いし、10反以上の結果をいただけた時、素人集団の竹筬研究会がプロ染織産地の織り職人さんたちの技量に応えられる技術を持ったプロ集団の竹筬研究会になれたと思いますし、染織の世界で認知されたと考え、販売ということが現実になると思います。また、どうぞご意見ご要望を研究会にお寄せいただきたいと思います。


(2010.10.30 下村輝 記)




 横浜シルク博物館の公募展・第21回全国染織作品展が10月9日〜11月14日まで開催され、入選作品約70点が展示されます。その期間中の10月19日〜24日までの6日間、竹筬研究会の第4回試作竹筬と織布展も同館で同時開催されます。

 今回も試作竹筬による作家さん及び会員の織布展示、会員製作の竹筬、外国を含む様々な竹筬、会員による製作技術の実演と解説、竹筬修理と組替えを含めた特別会員・大橋滋さんによる竹筬の診断と、竹筬研究会8年間の成果と現状・未来をご覧いただきたいと思います。

 詳しいDM等をご希望の方は下村へお問い合わせいただきたいと思います。

●下村連絡先
http://takeosa.blog.shinobi.jp/Category/16/


●第4回試作竹筬と織布展
http://takeosa.blog.shinobi.jp/Entry/90/



(2010.08.20 下村輝 記)
 




2010年10月19日〜24日の横浜・シルク博物館での第4回「竹筬と織布展」、そして11月18日〜20日の竹筬羽の故郷であり、研修場所である岐阜県穂積町(現・瑞穂市)での2回目の第5回「竹筬と織布展」も決定、両作品展に向けて新たに試織をお願いする約10点の竹筬作りを始めております。正会員の森田英史さん、森武さん、西尾一三さんにより筬羽引きされた竹筬羽は特別会員の元職人さん豊田義雄さんの検査を受け合格した筬羽を小嶋孝幸さんの仕上げ工程を経て、筬組みのプロ、大橋滋さん、小嶋孝幸さんの編筬機による機械組みにより試織用竹筬を製作、そして「製作・普及部」の竹筬として、まだ試織を兼ねてではありますが、お分けしていける入口に立ちつつあります。千四の竹筬羽を引いておられた義雄さんの検査は、以前の千○までの基準と較べきびしく、毎回合格をいただけるには、すべての面で一層の努力と改良が必要で、現在研究会はクリアーすべき大きな壁につきあたっております。整備不十分な竹林からの決して良くはなっていない竹材、正直台、銑、金板の全面改良、そして技術の積み重ねによる技術の向上の3点がクリアーできた時、プロの織産地にもたえる竹筬が復活できたとの思いで、義雄さん基準を目標に0からの出発のつもりで日々の研修を積んでいき、シルク博物館での竹筬展へ進んでいきます。

(2010.06.22 下村輝 記)




2月の東京・八王子織物工業組合での「試作竹筬による織布展」は入場者約400名。試織布は着尺が主の作品展で、織物組合の皆様にも、竹筬に関心を持ち手織りをしている方が、東京にもこれほど多くの方がおられることを知っていただけ、日本の染織が悲観的な面だけではないこも改めて認識していただけました。八王子展の成果をもとに横浜・シルク博物館での第4回竹筬展も10月に決定、シルク博物館の21回目の公募展・全国染織作品展(10月9日〜11月14日)の期間中の10月19日(火)〜24日(日)の6日間開催いたします。そして11月には竹筬羽の郷里であり研修場所である岐阜県穂積町(現・瑞穂市)で第5回竹筬展を開催予定です。当研究会への芸術文化振興基金よりの22年度の助成は50万円ものアップの350万円に内定、当研究会への実績への評価と期待度を感じます。今年度の目標は素人集団の研究会の竹筬がプロに認めていただけるように制作技術を進化させ、八重山上布・芭蕉布・小千谷縮・越後上布・宮古上布・大島紬へと順次挑戦し、試織の実績を重ねつつ、染織の皆様のご要望にもお応えできる研究会の体制作りと新しい形での後継者育成と竹筬の流通につきましても挑戦していきたいと思います。

(2010.05.08 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2010年6月号より
   



昨年3月、日本で唯一の竹筬羽の生産地で、竹筬研究会の研修場所である岐阜県穂積町(現・瑞穂市)での第1回「試作竹筬による織布展」より約1年、昨年9月には沖縄で2回目、そして今回の2月、東京・八王子市での3回目の竹筬と織布展、研究会の活動は一歩ずつ前進し、竹筬復活に近づきつつあると実感しております。昨年3月、当研究会の実技の講師、旧・日本竹筬工業で唯一の筬羽引きの職人さん、豊田陸雄さんが亡くなられ、筬羽引きを直接指導していただけることは出来なくなりました。しかし、約6年間の指導の結果、数人の会員が不十分ながら技術を引き継ぎ、次の世代に引き渡す事が可能になり、研修を実施しております。沖縄展までの試作竹筬の精度が充分かと申しますと、約20枚の試織結果は、3枚の筬羽割れが生じ、試織していただいた方にご迷惑をおかけいたしました。その後の試作竹筬は同じ日本竹筬工業で1400と精度の高い竹筬羽をご自分で設計された筬羽引きの機械で製作されていた唯一の職人さん、豊田義雄さん。現在94歳ながらお元気で、会員が製作した羽切り前の竹筬の検査を義雄さんの精度と厳しいチェックと助言をいただき合格した筬羽のみ、試作竹筬や将来に向けて譲ることを前提の「製作・普及部」製の竹筬として製作、それまでの試作竹筬とは一段レベルアップした安心してご使用いただける竹筬に近づきつつあります。そして次なるステップの第一歩として、絣の精度を要求される久留米絣に挑戦し竹筬を納品し、試織をお願いしております。そして今後は小千谷縮・越後上布用の竹筬に挑戦、さらに芭蕉布・宮古上布・大島紬用の竹筬へと順次挑戦し、試織をお願いし、5反10反と問題が生じなければ、形だけの竹筬ではない使用に充分たえる竹筬が復活したといえ、現在試織をお願いしている方、そして賛助会員として以前より応援していただいている方、そして竹筬をご希望になっておられる方々へと竹筬研究会の「製作・普及部」製の竹筬として譲っていければと考えております。
 筬組みは瑞穂市の研修所に日本竹筬工業の豊田亨さんの機械組み用の編整機が設置でき、日本竹筬工業のもう一人の機械組み職人さん、大橋滋さんの指導で若い金筬職人の小嶋孝幸さんにその技術を伝授していただいており、その完成度は格段に進歩しています。あとはこの機械組みにたえうる精度の高い竹筬羽をいかに多く製作できるか、それが譲れる竹筬の第一歩目と考えております。東京展が終わりましたら、豊田義雄さんが実行された筬羽引きの機械化に再挑戦し、筬羽の機械化を是非実現するために活動したいと思います。

(2010.02.21 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2010年4月号より




11月、3泊4日で大分と福岡へ会員4名で行きました。会員の西尾一三さんが挑戦されている、鯨寸間39羽と筬密度は粗い竹筬なのですが、その絣技術の精密度から竹筬の精度も要求される重要無形文化財久留米絣技術保持者会の松枝哲哉さんへの再度の竹筬納品と角浦節子さんによる種糸台用竹筬の納品。大分の竹工芸支援センターでは筬羽引きの機械引き化のための参考機械と情報の収集。福岡の竹材店へは竹材の割れに関する問題の解決。そして久留米絣技術保持者会の皆様方と市役所の会議室での竹筬情報、実技、問題点、現状、後継者などを映像を含めて意見交流会を持ちました。松枝さんには以前から試作竹筬で織布試織をしていただいて、問題点も指摘いただき、より完成度の高い竹筬を目指して努力された西尾さんの竹筬を納めました。今までの試作竹筬で試織していただいた竹筬で、筬羽の割れが生じた竹筬が3点、その原因も特別会員の元・職人、豊田義雄さんの指摘で解明できており、今後の竹筬は筬羽段階での義雄さんの厳しい検査で合格した筬羽を使用しての試作筬や「製作・普及部」の竹筬ですので、以前の試作竹筬の精度とは一段と違った、譲ることも可能な品質にも自身が持てつつある第一歩目の竹筬です。西尾さん、森田英史さんの筬羽はもう少しで義雄さんの検査を受けなくても自己検査でというレベルに近付きつつあり、角浦さんの新加入の方への研修で、次の人たちも育ちつつあります。研究会では、現在、西尾さんと森田さんに久留米絣と同様、高い精度を求められ、筬密度の高い越後上布、小千谷縮、宮古上布、そして旧・日本竹筬工業でも一番神経を使い製作されていた15.5ヨミの大島紬用の竹筬へと挑戦していき結果を出していきたいと思います。併せて「製作・普及部」の竹筬も譲れる体制へと進めていきたいと思います。岐阜の研修作業所には豊田亨さんより譲り受けました竹筬機械組み機である編整機が設置され、特別会員の大橋滋さん指導で小嶋さん主体に可動に向けて調整しています。竹筬の現在・現状・未来を知っていただく上で2月26日からの東京展、是非ご覧いただきたいと思います。

(2009.12.18 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2010年2月号より





 9月25〜27日、沖縄県立博物館・美術館1階講座室での第2回「試作竹筬による織布展」も無事終えることができました。一番竹筬の要望が強い沖縄での竹筬展と織布の出展者の半数が沖縄の各染織生産地の作品ということもあり、連日、90名前後の熱心な方々がお見えになり、竹筬の作り手と使い手が交流できた充実した3日間でした。今回の経験を基に来年2月に予定しています第3回「試作竹筬による織布展」の東京展をめざしたいと思います。今回の沖縄展では第一回の岐阜県穂積町(現・瑞穂市)での竹筬と織布展に新しく宮古上布・久米島紬2点・愛知県の間瀬邦子さん・南風原町の大城拓也さんの試作竹筬による織布も加わり、竹筬と織布が一層充実した作品展となりました。東京展ではさらに試作竹筬による織布の参加も加わり、一歩づつですが着実に研究会の技術が前進している実感があります。沖縄展では「製作・普及部」の千○と千百の竹筬を各2枚展示、まだ試織も兼ねての有料譲渡ではありますが納品、今後はさらに千二・千三を製作、また、主に木綿用の九○・八○も製作中です。まだ試織を兼ね、多く試織をしていただける染織家の方々を最優先に、研究会の賛助会員として応援していただいていた方々へと順次、有料で譲っていますが、最低一枚の筬で10反以上を織っていただき大丈夫というお返事をいただけた折りには一般の染織家の皆様のご要望にもお応えできると思います。その研究会の体制作りと併せて、研究会が製作し譲渡できる竹筬の精度と目標レベルは以前の自分用の竹筬という精度ではなく、他の人に譲り使っていただく、職業としての染織家・染織産地の使用に耐えうる精度をめざしたいと思います。具体的には宮古上布・越前上布・小千縮・喜如嘉の芭蕉布・久留米絣といった文化庁が認定された技術の高い染織産地と、最大の需要が望め最高の竹筬技術を要求される大島紬での職人さんでのOKがいただけるレベルでの精度を最終目標にいたします。その中で筬密度、鯨寸間39羽の久留米絣・松枝哲哉さんの竹筬を会員の西尾一三さんと戸区別会員の大橋滋さんで挑戦され製作、併せて松枝さんより要望のありました絵台用の竹筬を会員の角浦節子さんが挑戦、製作され、11月末には納品、その結果を待ちたいと思います。今後の研究会の活動は竹筬の精度を上げるための各染織産地の調査・豊田義雄さんがよく言われる筬羽引きの機械化のための調査と開発と製作に力を入れ、良い竹筬をできるだけ多くの皆様に使っていただき、竹筬製作の若い職人と竹筬を使用する染織家の双方が成り立つ研究会のあり方を確立していきたいと思います。

(2009.10.22 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2009年12月号より





新年度に入り5ヶ月、新入会された会員の岐阜県瑞穂市生津での研修も順調に進んでおります。また、研究会の譲れることを前提にした「製作・普及部」の技術レベルですが、唯一の筬羽引きの職人さん、90歳を越えられた豊田義雄さんのご自宅に伺い、筬羽の検査・道具・製作上の注意点・お話と、今しかお聞きできない貴重で大切なお話を、帰りの時間を気にしながら、特別研修をしていただいております。筬羽引きの職人さんには千○(着尺幅1尺5分で1000本の経糸を通す時に使用する竹筬と竹筬羽の名称)を標準に竹筬羽を引かれていた豊田陸雄さん、千四を標準に引かれていた義雄さん、六○から八○ぐらいの木綿用のあらい竹筬羽を引かれていた職人さんがおられ、その筬羽を旧・日本竹筬工業の組み工程(機械組み)の職人さん・豊田亨さん、大橋滋さんにより竹筬羽の良否も含めて、用途により選別し製作されていました。竹筬羽は八○より千○、千○より千四と薄くなるほど精度が要求され、難しくなります。千四を引かれ、人の技の五倍以上効率が良く、精度の高い筬羽が機械の調整を完璧にしておけば、二つ割り・幅取り・荒引き・一番大切な二番引き・皮引きまでの工程が出来る各機械を自分で設計図を引き、ご夫婦で使いこなされていた豊田義雄さん、ご自身で最後の上引き(仕上げ引き)は銑と正直台で手引きされていた職人さん、義雄さんのご助言は本当に今、貴重な生きたお話です。この貴重な機械は残念なことに今はないのですが、その再興も是非に進めるよう助言いただいております。「製作・普及部」の竹筬は角浦節子さんの竹筬羽使用の竹筬が相楽木綿(京都)に納まりましたし、追加分も製作中。森田英史さんの竹筬羽使用の竹筬は沖縄展で展示予定、福岡の甲木恵都子さんが教えておられる染色教室でご購入、試織を兼ねて使用いただきます。西尾一三さんの竹筬羽じゃ久留米絣の松枝哲哉・小夜子さん用に再度完璧をめざして現在努力中、併せて千○以下の木綿用の竹筬羽も製作中で、近い将来、ご購入いただける竹筬が製作できると思います。一歩ずつですが竹筬製作は前進しておりますので、この偶数月の広告欄や研究会のホームページを今後もご覧下さい。


(2009.08.21 下村輝 記)

染織と生活社『染織情報α』2009年10月号より


忍者ブログ [PR]
最新CM
[10/05 今村(トリイ)]
[10/02 今村(トリイ)]
[10/02 さあや]
[09/11 今村]
[08/05 八柳 良介]
プロフィール
HN:
竹筬研究会:S.Y
性別:
非公開
QRコード
ブログ内検索
アクセス解析
カウンター