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(略称:竹筬研究会)



2007年11月に筬に関する専門書が自費出版という形で出されました。
筬という織物道具の一部品に関する専門書はおそらく初めてではないでしょうか。

内容は、筬に関して時代や国を越えて網羅的に記してあります。

詳しくは 【こちら】 のページで紹介されています。




ご購読を希望される方は、著者である加藤忠一さんへ直接ご連絡ください。

ご連絡先:
加藤忠一
chu3★jcom.home.ne.jp
(★→@)



                           目次紹介:
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 平成12年、一人の竹筬羽作りの職人さんがお亡くなりになり、全国の竹筬製造は中止となりました。ある日突然、竹筬は入手出来なくなりました。当時、竹筬はすでに存続の危機にあったにもかかわらず、それを必要とする人達には伝わっていませんでした。今、竹筬と同じ事が金筬でもおきようとしています。
 
 金筬を作っている筬屋の数は現在、最盛期の十分の一以下に激減しています。その原因はいくつかありますが、大きく言えば日本で織物が作られなくなり、経営が成り立たなくなったことが挙げられます。その為、後継者も居らなく、筬屋の多くは60・70代という年齢でいつ廃業を決意されてもおかしくありません。また、筬を作る材料屋も同様の状況にあり、リードワイヤー(筬羽)屋は次々と辞めてしまい、今では残り2軒(去年までは5軒)となりました。果たして10年後、筬は作れる環境にあるのでしょうか。

 筬は織りには欠かせない部品です。今後も安定供給をするにはそれなりの仕事の量と価格が必要です。ただ悪戯に安さを競い合ってもおそらく皆共倒れになるでしょう。いえ、正確にはすでになりつつあり、今がその結果です。市場原理、企業努力だけでは竹筬と同じ道を辿りかねません。その様にならない為にも織物にかかわる方々の協力を得て、意図的に仕事を集約し、ある程度、特定の企業を存続させていこうとする全体の意思の必要性を感じています。筬の購入の際は少しでも「筬の存続」を考えて頂ければうれしく思います。

 愛知県 蒲郡市
 有限会社 筬熊リード製作所 
  小嶋孝幸




■ 紹介

 小嶋さんには、金筬製作の技術を生かして、竹筬羽の仕上げと組み立ての工程を担当してもらっています。60・70歳代がほとんどを占める竹筬研究会の正会員の中で、数少ない30歳代の若手会員として、日々努力してもらっています。
 
 現在、金筬は機械織り用のものを主流に作っておりますが、手織用の金筬作りも期待するところです。

 竹筬研究会 会長
  下村輝
 


刃の調整方法







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正直台









i.    ‘金板’を台にセットする。

*荒引きの時は、金板の先がより斜めになっているものを使うと竹が入り易い。



ii.    ‘親づめ’をずれないように下に濡れた布を敷いて台に置く。



iii.    筬羽を引く箇所の銑に‘メメタ’を付け、銑を正直台にはめる。‘メメタ’は、荒引きした竹を7~8cmに折り、銑の刃を斜めに食い込ませる。この時、銑の角度を調整するために‘あてば’を使う。

*先に‘メメタ’を金板に置き、銑をはめてもよい。



iv.    まず‘上げづめ’をかいほぼ銑を固定し、銑と金板の隙間・刃先の位置を調節しながら ‘前づめ’ ‘背中づめ’をかい、各々のつめをしっかり締めて銑を固定する。



v.    竹を引いて、金属の鯨尺2分マスに入れて厚みを決める。

・メメタ  筬羽を引く位置の固定・銑と金板の隙間の微調整(前づめを締め、軽くゆすると隙間の微調整ができる)

・親づめ  銑をささえ基本の角度をつける

・あてば  銑の角度をつける

・上げづめ 締めると銑と金板の隙間があく

・前づめ  締めると銑と金板の隙間がつまる

・背中づめ 刃先の位置を決める



*つめの締りが悪いときは、各々のつめを濡らして打ち込むと良い。

*つめは、木目が揃っていない方を刃に当てて打ち込む。

*金板と銑の刃先は、引く筬羽の厚みほどあける。



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正直台(正面)





















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金板と研ぐ時の持ち手を付けた銑
筬羽整形
H15年6月~ 豊田陸雄さん、豊田義雄さんより実技指導を受ける



【原材料】  真竹(孟宗竹) *破竹は軟らかいので筬羽には適さない。

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厚み:約1分 幅:約5分 長さ:並三ツ・並四ツ・並五 ・長三ツ・長四ツ
(並:鯨尺2寸1分の筬羽がその枚数分取れる長さ)
(長:鯨尺2寸4分の筬羽がその枚数分取れる長さ)

*苛性ソーダを入れて煮てある。
500本=1束(並五は1束400本) 12束=1表
*    男性で1日10束分を削った。(10,000回)
*    1ヶ月で3~4.5表

【工程】

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1.    竹あみ         
2.    竹割り
3.    荒引き
4.    幅取り
5.    ニバン引き
6.    皮取り
7.    上引き
8.    羽揃え
9.    羽切り







1.    竹あみ:材料が届いたら、細い竹で長さ150cm位の簾状に編む。それを皮を上にして、昼夜・天候を問わず、川の土手に出しっぱなしにして2~3週間乾燥させる。

竹筬
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2.    竹割り:乾燥したままの状態で、先(細い方)から二つ割で半分に割る。割り終えたら組み違えておく。
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  緑=皮
  赤=削った面

図2

割り方
i.    乾燥した竹の先(皮が上)を二つ割の刃に当て、二つ割のもち手を支点として親指で押さえ竹の元の方を押し上げ割目を入れる。
ii.    割って行く時は、そのまま親指で竹を押さえながら元のほうを押して二つに割る。
iii.    割り終えたら、割った面がそろうように組み違えておく。
*    荒引きする時、厚みの薄い方から正直台の刃に入れる。

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(上4本):二つ割にした竹
(下2本):二つ割をする
前の竹

割るための道具








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3.    荒引き:正直台で鯨尺2分マスに6枚分入る厚さ(約1.26mm)に身の方を削る。

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金属の鯨尺2分マス





削り方
i.    前もって二つ割りした竹を水に2~3日浸けておく。(湯なら1昼夜)
ii.    正直台をセットする。(刃の調整方法参照)
iii.    二つ割りした竹を身の方を上にして厚みの薄いほうから斜めに正直台の金板と銑の刃の間に入れ、引き始めたらすぐに“メメタ”の所まで持って行き、気持ち上に持ち上げるようにして一気に削る。最初全長の6割分を削る。
iv.    持ち替えて残った部分も削る。残ったほうは、最初から削った部分を“メメタ”の所まで入れ全体が同じ厚さになるように削る。
v.    削り終わった竹は、方向を揃えておく。(二つ割した面が揃う)
*    1,000本ほど引いたら刃をずらす。
*    竹で指を痛めやすいので、親指と人差し指に布を巻くとよい。
*    竹の厚みは、正直台の爪で調節し、金に鯨尺2分の溝がありそこに削った竹を入れて決める。
*    多少の厚みのムラは気にしなくて良い。

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4.    幅取り:幅取り台で幅(曲尺2分=6.06mm)を揃える。

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削り方
i.    竹の長さの手前から4割ほどの位置で、皮を上にして、二つ割りした方でない古い面を刃のほうに斜めに入れ、押さえの棒で押さえながら引き始める。
ii.    すぐに竹が台に着き幅が決まるので、幅揃えの金棒とガイドの金棒に竹を添わせて引く。
iii.    ひっくり返し残りを引く。(皮が下になる)
*    引き終わった竹は、もう方向は気にしなくてもよい。


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幅取りの様子








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幅取り台









5.    二番引き:筬の基本。鯨尺2分マスに9枚分入る厚さ(約0.84mm)に身の方を削る。
*    皮をとると七〇の筬になる。(厚みのムラがないように引く)
*    竹の両端・真中の厚み、幅の両側の厚みを揃える。(竹を引き出す角度によって竹の両端と真中の厚みが違ってくるので注意する。また、竹の皮が、金板に当たる位置が幅の中央にくるように銑の刃を調整する。)
*    500~600枚引いたら刃をずらす。
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6.    皮取り:皮のほうを鯨尺2分マスに14枚分入る厚さ(約0.54mm)に引く。
*    正直台の刃を身を引くときより少し立てる。(あてばを荒引き1枚分くらい厚くする)


7.    上引き:鯨尺2分マスに24枚分入る厚さ(約0.315mm)に身の方を引く。(千二の筬の羽の時)
* 筬羽の厚みが非常に薄いものは、もう1度身の方を仕上げ引きする。
鯨尺2分マス入り本数の目安

表1
筬の品名 荒引き 二番引き 皮取り 上引き 上引き仕上げ
五○ 10    
六○ 12    
七○ 14    
八○ 16    
九○ 14 18  
千○ 14 20  
千○八十 14 22  
千百二十 14 23(固く)  
千二 14 24  
千三 10 16 26  
千四 10 16 28  
千五 11 14 24 30
千六 11 14 24 32
千八 11 14 24 36




8.    羽揃え:筬に必要な羽の枚数を揃える。(表2 筬の種類と羽数「羽揃えの1束の本数」参照)

揃え方
i.    上引きした羽を半日ほど陰干しする。(羽切りする時ほんの少し湿り気があるほうがよい)
ii.    両方の手のひらに筬羽の端を持ち、やさしくゆすって身と皮の方向を揃える。(身のほうが上に揃う)
iii.    左手で裏表そろった羽を持ち、右端を膝に当て、右手の親指と人差し指で摘み上げるようにして並べる。(竹を少したわませながらすると並べやすい)
iv.    左手に並べた筬の羽を皮の方が見えるように持ち、扇のように広げ、羽の汚れ・割れなど不良なものを抜く。
v.    羽切りの筬の必要枚数を数え(5枚づつ)、糸で括っておく。(千二の筬=78枚)
* 括り方は、羽切りした後の括り方と同じ。
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羽を並べる               





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羽揃えする






9.    羽切り:羽切り台で、羽揃えした束を筬の外天地+5厘の長さに切る。
*    外天地の長さ 大島:鯨尺2寸
絹 :鯨尺2寸1分
綿 :鯨尺2寸4分


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羽切りの手の位置





切り方
i.    最初、皮のほうを上にして糸で束ねたほうの端を少し切り落とす。
ii.    筬の羽の束を 刃を下ろす所のガイド・長さを揃える台・その間にあるガイドの3点に、きっちり揃え 左手で長さを揃える台のほうに束を押しながら、右手人差し指で筬の束が崩れない様に押さえ、掌に力を入れ一気に切る。(筬の羽の束がきっちり揃っていないと羽割れの原因となる)
iii.    切ったらすぐ、割れた羽がないか、羽の角に左親指先を当てペラペラめくって調べる。悪い羽があったらそれを除き「たし羽」する。この時、切れていない羽は、左手の人差し指と中指の間に挟んで持つ。
iv.    揃えた筬羽は、切れたたばの半分を上下ひっくり返し(皮の向きは変えない)、台の釘の間に皮の方を左(羽切りする方)に揃えて置く。羽揃えした筬羽から4回分切り取れる。(並四ツ)
v.    8回切り終えたら、2たば分を1つに糸で絡げ1束にする。この時皮の方が判る様にVの字に広げて糸を絡げておく。
vi.    羽切りした1束を16個分たばねておく。

*    16束分を1本の金箱(金がまち)に入れる。4束分で1本の筬になる。
*    羽切り用の刃は、銑が正直台で使えなくなった物を刃の角度を小さく研ぎ出して使っていた。
*    刃を止める所は、ゆるみがあるので布を巻きツメをかう。
*    長さを決める台は、ほんの少し前に傾ける。

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割れた羽がないかの確認         





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羽切り台と束ねた羽            





筬の種類と羽数 

表2
筬の品名 2分マス入本数 1丁4枚詰羽数本数 羽揃えの1束の本数
五○ 10 1000 33
六○ 12 1200 39
七○ 14 1400 46
八○ 16 1600 53
九○ 18 1800 59
千○ 20 2000 65
千○八十 22 2160 70
千百二十 23(固く) 2240 73
千二 24 2400 78
千三 26 2600 84
千四 28 2800 91
千五 30 3000 99
千六 32 3200 104
千八 36 3600 117




2005.3.24 文章:関


竹筬について



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写真:竹筬研究会会員今里さんによる竹筬の試作品(上)と、奄美大島で使用されていた日本竹筬工業で作られた竹筬(下)









金筬が主流の現在ですが、それでも竹筬を求める声は絶えません。実際に織り手の方々から話を伺ったところ、以下のような竹筬の特徴をあげることができます。





良い点

・竹のしなる性質により、筬糸通しが楽にできる

・竹のしなる性質により、経糸にかかる負担が小さい

・ふんわりした性質のものが織れる

・(特に海辺地域では)錆びによって織物が汚れることがない

・金筬より軽い

・植物が原材料であることから、手になじむ



悪い点

・金筬に比べ耐久性が低い

・金筬より金額が高い


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