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(略称:竹筬研究会)
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 11月の横浜・シルク博物館での第13回「試作竹筬と織布展」では、喜如嘉の芭蕉布、久留米絣、久米島紬、宮古上布、小千谷縮などの重要無形文化財に指定された保持団体や保持者(人間国宝)、日本工芸会などで活躍されている方々の作品を約40点展示でき、技術的にはほぼ習得できているのではと思っておりますが、さらに研修と実績を重ねて、最終の確認は大島紬産地での試験で合格がいただければ、竹筬の製作技術の面ではその保存と伝承ができたと考えます。

 大島紬はタテ・ヨコの点で模様を表現する十字絣もしくはT字絣、使用する竹筬は女物で15.5ヨミ、着尺幅約40cmで1240本のタテ糸が通ります。一般の産地の竹筬なら1300か1400の薄羽の筬羽で組みますが、大島紬だけは1200以下の厚羽で組み、天地も一般が8cmのところ7.5cmと低く、筬羽の焼き具合も赤焼きではなく、黒染め糸使用が主流ですので白焼きです。精密な絣合わせを第一に考えて、竹筬作りをしなくてはならない織物産地で、来年度は大島紬の竹筬をめざし、奄美での竹筬調査を実施したいと思います。技術的には、ほぼクリアーなのですが、最大の問題点は良質な筬羽に適した竹材の入手です。

 10月でご報告した通り、別府の2店の竹財は期待以下、宮崎の竹材も、その後、会員が試験した結果、期待以下でした。孟宗の竹林は筍のために整備されますが、真竹の整備林はほとんど存在せず、荒れた竹林からの切り出しが主で、真竹の4年物、径がほぼ同一で、切る時期は一番虫に食われにくい11月から、竹筬用に同質の割れにくい竹を約100本となると、現状の竹工芸用の竹材の世界では、今までの結果から、まだ1軒も満足できた竹材はありません。初期の福岡の竹材店の職人さんがご高齢の方で、筬羽の竹材を知っておられ、加工もしておられた最後の方だったかもしれません。他の竹材店では、竹筬用の竹など、まったくご存知ではなく、竹ベラ資料を提示して加工依頼するのですが、加工でさえ未だ満足な結果は得られておらず、質は会員が試験をして評価を出しておりますが、質も未だ満足な結果は得られておりません。研究会では、竹筬製作の折、竹材の悪い分、チェックを厳しくして、割れなどの問題が生じないよう注意して製作しています。これからも、竹材探しが研究会の最大の課題です。皆様の竹材の情報をよろしくお願いいたします。



(2016.10.24 下村輝 記)



※12/6:記事内の文章を一部改変いたしました。
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