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(略称:竹筬研究会)
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前回のデータに訂正箇所があった為、訂正版を再投稿させていただきます。
3月、会員3名で沖縄を訪れました。2組合に試作竹筬を納入し、以前に各組合に納入した竹筬の評価や要望を聞くためです。
琉球絣の大城廣史郎工房では納入した「よろけ竹筬」の今後の課題で、帯の織帛は「よろけ」の表現が今一つで、一番の原因は「よろけ竹筬」を上下に滑らかに移動できる筬框操作の作成と使用する絹糸の太さと織物密度との関係です。筬密度、すなわち鯨寸間何羽の筬で、使用する筬羽の厚みは何〇の筬羽で組むのが最適か、筬設計の話になります。喜如嘉の芭蕉布では帯の作品を多数拝見し、帯用の竹筬の要望が有りました。帯の場合、糸作りの段階から、タテ糸の太さ・単糸か双糸か・より方・より回数も含めて今後の課題で、幸い9月21日・22日の「東京スピンニングパーティー」でお目に掛かれた折、ねん糸のことも含めた糸使いで糸を決め、筬密度を設計し作成いたします。以前に古い竹筬を提供いただいたものは、両耳付近の竹筬羽が芭蕉布の結び目等で竹筬羽が削れ、糸スジが付き、竹筬にとっては過酷な使用状況で、竹筬は消耗部品といえます。
読谷村花織では、以前、組合の竹筬要望はなかったのですが、各個人では竹筬使用の要望がありました。那覇伝統織物組合と琉球絣織物組合、前者は以前に3枚の試作竹筬を納め、竹筬展にも作品を出展、今回は追加の竹筬納入と要望と評価を調査できました。琉球絣組合は、要望のありました夏物の駒糸使いの着物用の竹筬納入です。1cmあたり15羽と18羽を各2枚の計4枚。この夏物の駒糸使い紗や絽の薄物、土屋順紀氏の紋紗の筬設計は一般的な着物用の筬設計とは全く逆の筬構成で製作し、試織し、結果を出し、より適正な構成で竹筬を製作いたします。今回の場合、それぞれの羽数と同じ銘柄の筬羽使用と厚羽での各2種を納めての結果待ちです。この組み合わせで唯一なのが大島紬用の竹筬で、15.5ヨミの羽数に厚羽で組み、一般的な筬の天地が8cmのところ7.5cmと低く、タテ・ヨコの点絣が合うことを最重点にした組み合わせ竹筬で、泥染めの黒ということで、筬羽の焼きは濃い赤焼きではなく、竹の色を残す白焼き羽で作られています。ちなみに一般的な筬設計は15ヨミの着物幅40cmで1200本のタテ糸が並びます。その時の使用筬羽銘柄は100本~200本薄い筬羽で組みます。その分、糸や節が通りやすくなりますが、両耳が不安定になり、ヨコ糸の入れ方と機張りの加減が重要です。研究会の竹筬羽はこの使用筬羽の銘柄を表示していますが、今までの竹筬羽は表示がなく、ヨミ数は同じでも、銘柄=筬羽の厚みが違う羽での竹筬である認識も必要です。
4月17日記   下村  輝
2月4日付で、2019年度の国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金交付申請書を京都府を通して文化庁長官へ提出いたしました。総事業費は997万円余で、交付を受けようとする補助金は980万円です。以前の名称は、国宝重要文化財等保存整備補助金で、来年度からは上記に変わり、今までの保存に活用事業費という考え方が加わり、今後の時代が求める補助金の方向と思います。国の考え方の方向性と会の具体的な考え方と運営をお伝えし、助言いただく2月16日の研修会日と17日の2日間。文化庁文化財第一課工芸技術部門調査官・生田ゆき氏と京都府教育庁指導部文化財保護課美術工芸・民族・無形文化財担当・向田明弘氏のお二人に岐阜の研修場にお越しいただきました。
1日目は、会の作業や活動・状況を知って頂くために丸青竹の割り・竹ヘギ・湯炊き・乾燥・銑引き・幅取り・羽切りをご覧いただき、最後は小嶋さんの竹筬編整機による機械組みと筬の仕上げをお見せしました。その後、私と小倉で来年度からの文化庁文化財第一課工芸技術部門の国庫助成事業の書類等マニュアルの説明を受け、提出書類については申請書や報告書の新しい内容と要件、補助事業では要作成書類や総会、補助事業視察の内容と要件で従来通りです。2日目は、朝一番に祖父江の集落をご案内して、以前の研修所・豊田陸雄さん宅や大正7年に光照寺前に建設された竹筬の功績者 栗山頼資記念碑・長良川支流の堤防に竹ベラを網代に組み竹干しした土手の風景を見ていただきました。その後、研修所において、下村・野村・小倉で来年度の文化庁の補助事業の基本的な考え方と今後の方向性をお聞きしました。補助金事業の中で活用事業費の具体的な内容は、昨年10月に熱海市で開催された子供たちを対象にした参加型の「日本の技体験フェア」で、全国各地の32の文化財を陰で支え続けてきた修理技術や材料・道具を作成する技術が一堂に集まり、体験コーナーや実演コーナーがあり、各種保存団体と交流や情報交換の持てる機会です。来年度は、沖縄で開催と聞いています。このような事業は、各団体でも小規模ながら展開できるようです。
今回の意見交流の結論的な事は、竹筬製作で「染色の世界での社会的な貢献・製作技術での伝承と後継者の育成」を竹筬製作技術の活用で新しい用途の開発や需要の開拓、機械化による精度と効率化で発展的に研究会を運営していけるよう補助金を活用してほしいとのご意見でした。この考え方と方向性を少し文章にまとめて2月末締め切りの「第13回読売あをによし賞」に応募いたします。 *5月25日・26日のまつもとクラフトフェアは、講堂が改修のため使用でず応募しておりませんが、前日の安曇野。後日の岡谷での講習会は計画しております。
2月21日記   下村  輝
8月の「羽切り」の機械化は、筬羽は8cm〜9cm、真弧用は20cmまでの「治具」の試作ではほぼ問題ないと思います。機械切断時の羽竹の束ねは指や糸ではなく、100円ショップの梱包用フィルムを使用しています。手による「羽切り」は羽揃えした羽竹を筬の外天地+2mmの長さに指で押さえて切断、切断時の逃げを考え、切断枚数の半分の所で筬羽を180度返して、+・−の調整をして金框で高さを揃え(筬羽の幅)のバリカキ、その後のミガキ後「焼き入れ」になります。万力でしっかりはさみ、固定して金框から外し、天地の高さの8cmや9cmに鉋を掛けます。幅の高さ揃えの立鉋掛けや天地揃えの鉋掛けは竹の繊維の流れに逆らう工程で、長く経験の重ねられた職人さんならではの技術がいる作業です。羽切り前の銑引きされた羽竹の幅6.4mmの幅取りや厚みの傾きや平行度の精度をはじめとして、金框の締め具合、万力での締め具合などが不十分だとこの鉋掛けは筬羽の羽割れにつながる作業です。機械でもし外天地の8cmや9cmに完璧に羽切りできれば、天地を揃える縁仕上げの鉋掛けは必要がなくなりますし、また金框での高さ揃えのバリカキの立鉋掛けも考慮中です。機械での羽切り時、羽竹を1枚の板として切断する前工程として、今は2台のバイスを使用し、金框と同じ原理で長い羽竹を固定し、フィルム巻きしています。巻く前のバイス固定時に竹繊維の流れに沿っての金框での傍仕上げ(立鉋でのミガキ)と同様の方法で、高さ揃えのバリガキができないかとその2台のバイスの構造と一定の高さに削ることができる鉋との組合せを考えています。金框の試験も、真弧用の20cmには今は対応できず、宮垣さんが現在の金框の寸法から図面を起こされ、3Dで拝見し検討しています。寸法は今までの手作業の精度と職人さんの経験と技術でクリアーできたのでしょうがアバウトな数字です。羽切りでの性格な天地の寸法や幅決めの精度が上がれば、金框の精度と役割が変わるのではと相談しています。

 和傘職人の中村屋の工房も2度寄せていただき、竹加工の実技と岐阜和傘のDVDをいただき、夫婦・男女の職人さんの凄い技術と凄い機械加工の映像で、丸青竹の割り方や手順、機械加工では骨4本分に手割りした竹の余分な厚みを削り取る「肉き」機械、その後の1/2の小割り器、穴あけ機、さらに骨1本分にする1/2の小割り機、そして親骨の4ヵ所を一度に削る骨削り機械や機械ロクロでのロクロ作り、目切り、目穴あけ、目すきの機械工程は、凄いの一言、技術伝承はもちろんのこと、この凄い機会を残すことも重要と思いました。


(2018.12.20 下村輝 記)


羽切り工程:今は長尺の青丸竹を切り出してもらい、会で節落しして、16mm幅に割り、竹剥ぎした竹ベラを湯炊きして乾燥が会の作業に加わりました。その竹を二つ割りにして、最初の銑引き、荒引きし、幅取り、二番目が一番重要な二番引き、三番目の皮取り、四番目の上引きで厚みが決定、「千三」以上の薄羽は仕上げ引きもあります。銑引きや幅取りは最初6分を削り取り、反して残り4分を取ります。1回の工程は2度の羽を通す作業で、上引きまでに10回(仕上げ引きは12回)の刃物を通します。これだけの作業工程を経た長い状態の薄い羽竹を羽揃えして、重ねて筬の外天地(8cmや9cm)+2mmの長さに切断するのが羽切りで、用具が羽切り台です。押切りの原理で重ねた羽竹を必要な外天地の長さに切るのですが、刃物は銑引きに使用後の刀のように細くなった刃を利用、刃はか片刃で研ぎで少しだけ両刃的にしていますが、羽切りで切断面が逃げることを見越して羽切り台は制作してあります。左手で羽竹の束を保持し、右手の指で押さえての切断で、大変技術と経験のいる作業です。職人さんの半分の枚数を切ることも、会員にとって大変で、この羽切り切断が上手にできなければ、羽割れの原因になり、天地の不揃えになり、筬羽が不良になり、今までの作業が無になります。

 今、人に渡せる試作竹筬の羽竹の切断は西尾さんにお願いしていますが、この技術の伝承と次の後継者の育成の必要性を感じます。10月の研修でこの「羽切り」を西尾さんに講習いただき、会員が挑戦致しましたが、非常に大変で難しい作業でした。会の今年度の目標は、会員の筬羽引きの技術向上と提供竹筬の筬羽制作ですが、その次の羽切り工程もクリアーすべき重要な技術で、その技術を教授できる日本竹筬工業の職人さんは0です。羽切り技術の習得も会の次の課題で機械化はその一つの方法で試作を始めていますし、幅取りの機械化は岐阜の和傘職人、中村さんに相談を掛けています。



(2018.10.21 下村輝 記)


第6回「染織の素材+漆+竹筬展」
12月5日(水)〜11日(火)
11:00〜19:00
ぎゃらりい西利
075-525-7111
京都市東山区四条通祇園町南側
京つけもの西利祇園店4階
https://www.nishiri.co.jp/news/gallery/










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