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(略称:竹筬研究会)
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 先日、テレビで「京都・伝統工芸の危機 行政が弟子入り支援」の事業紹介。具体的には「西陣絣」の職人さんと、その熟練の技を受け継ぎたい若者とのシステムで、京都市・京都府の染織工芸課が主体に弟子入り希望者を全国に募り、後継者に悩む職人とのマッチングを行い、派遣先を決め、半年〜1年間、月16万円の給与を行政が支払う「弟子入り支援事業」でした。徒弟制度による後継者育成や技術伝承が困難になった現在、若者を職人に育成でき、生活していける一つの試みだと思いました。

 竹筬研究会も国の支援を受け、竹筬復活を目指しています。そこには職人さんよりの技術修得と伝承があってこそ復活があり、趣旨に違いはありませんが、運営のシステムは少し違います。会員は定年退職し年金をいただいている60代以上の方、子育てが終わり染織を楽しめ関心を持ち勉強できる時間がもてる主婦や女性の方、そして現役の仕事を持ち竹筬に関心を持ち場合によっては仕事として考えている若者2名。その若者が竹筬職人として生活していける新しいシステムを構築していくことが、良い竹材探しの後の11年目に入った研究会の1番の課題になると思います。

 日々活動しております会の1年間の報告書、会報「竹筬」8号が出来ました。ご希望の方には無料送付中です。なお月々の現況は『染織情報α』の偶数月の広告欄の「絹通信」か、竹筬研究会のホームページをご覧ください。


(2014.06.23 下村輝 記)
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 竹筬研究会を結成したのが平成15年7月、翌年16年から芸術文化振興基金より助成を受け、その後23年9月からは文化庁の国宝重要文化財等保存整備費補助金よりの助成を受け、竹筬の製作と修復の技術を修得し、その技術の保存と伝承を目指し研修を続けて10年、今年度は11年目に入りました。

 「竹筬」のビデオの中で、職人さんが語られているように、一つの工程の技術を修得するのに10年はかかると話されています。竹筬製作には大きく三つの分業工程があります。【1】竹材店から購入した竹ベラに10回の刃物を通し竹筬羽の羽切りまでの銑引きなどの工程、【2】羽切りした筬羽の面を整え、油焼きし、面取りなどをする筬羽の仕上げ工程、【3】仕上げされた筬羽を竹筬に手組み、または編筬機により組み、竹筬として仕上げる組み工程。【3】の工程も旧・日本竹筬工業でしていましたが、【1】【2】が主たる仕事で、【3】が全国の竹筬屋さんの仕事ということでした。約10年前に日本竹筬工業の【2】の工程の職人さんが仕事ができなくなり、竹筬製造は休止し廃業になりました。【1】の銑引き工程は日本竹筬工業の故・豊田陸夫さんから、会員の故・平野さん、合原さん、今里さん、西尾さん、そして他の会員へと、技術は引き継がれています。【3】の組み工程は豊田亨さん、大橋滋さんの技術と機械を現・金筬業の会員・小嶋さんが担当、【2】の仕上げ工程はビデオなどを参考にして小嶋さんが工夫し担当して竹筬研究会の試作竹筬は製作され、年2回の「試作竹筬と織布展」で、その成果と研究会の現状を報告しています。

 試作竹筬も約50枚提供し、50名の染織家の皆様に試織をお願いし試作竹筬の評価をお願いしています。試織はまだ個人レベルでのお願いで、染織産地の職人さんレベルでの依頼はまだクリアーできていません。それは産地では着物の織幅で1000本以上の経糸本数、普通は1200本またはそれ以上の経糸本数の竹筬が必要とされ、その分、筬羽は薄くより高度な技術が要求されます。1000本までの竹筬なら何とか技術的に確立できていると思いますが、それ以上の技術はさらなる研修を重ねる必要を感じます。それに加え、近年は竹林の問題もクリアーすべき、課題になりました。竹工芸の衰退で竹林の荒廃が進み、竹材店より竹筬に適した良質の真竹の竹ベラ入手が困難になり、竹切り職人さん、竹加工職人さんの減少や後継者0の業界になりつつあり、原料確保とその加工が今年の竹筬研究会の大きな仕事になりました。
(第1と第3の土曜日午後1時〜5時頃まで、岐阜県瑞穂市で研修をいたしております。是非見学にお越し下さい。)


(2014.04.18 下村輝 記)



 第10回試作竹筬と織布展が1月21日から26日まで名古屋市民ギャラリー栄で開催、連日約100名の皆様にお越しいただき、多くの方に竹筬の現状と竹筬研究会の活動を知っていただけました。今、竹筬研究会の最大の課題、竹筬に適した良質の竹に出会え、見つけることができていないため、新作の試作竹筬の提供は少ないのですが、それでも新加入の方の作品が5点加わり、約50点の試織布と会員の自作竹筬による作品約10点の合計60点の作品展示は見応えがあります。会員製作の展示竹筬も初期の竹筬にくらべ、その精度の高さは、ほとんど完成品に近く、あとは割れにくい良質の竹材を見つけることで、羽割れは格段に少なくなり、竹筬復活がより近づくと思います。竹筬研究会のもう一つの課題、杼の試作品の1作目も展示することができました。

 今、会員の一番の仕事は、竹切り職人、岡さんに切り出していただいた7〜8mの青丸竹の節を電動丸鋸で落とし、規定の長さに切りそろえ、その丸竹に会員が鉈で1ヶ所割りを入れますが、これが大変です。鉈を入れると青丸竹はバーンと割れるのではなく、鉈を青竹は挟み込み、抜くのが大変です。研修ということで経験してもらっていますが、上から羽が落ちるクランク式の購入した竹割り機では、少しの工夫で早く簡単に割りを入れております。その割りを入れた丸竹を会員が鉈で16mm幅に割り、その竹片を1mm厚の竹ベラに機械を通しヘギ竹に加工、竹筬の原料の竹ベラ作り、湯炊きし乾燥という工程を会員でいたしております。

 以前は竹材店より電話1本で入荷していた竹が竹工芸の衰退で、竹を切り出す職人、その竹を加工する職人がほとんど仕事として成り立たず、限りなく0に近づいた現在、竹筬作りには良質な竹材の確保と加工作業が加わり、その工程の機械化が必要です。良い原料、良い道具や機械、そして技術の三つがクリヤーできてこそ、良い竹筬ができます。今後もよい竹材探しと道具や機械の開発、そして日々の研修で技術の向上を目指します。

 金筬の現状も調べました。金筬の筬羽、リードワイヤーは大阪の(株)見浪製作所、筬羽を固定するコイルは大阪の日本圧延工業所の各1社のみ、海外向けの需要が減少しても大丈夫なように思いますが、それを組む金筬屋さんの高齢化と後継者0のことが、原材料のこともそうですが、より深刻な問題だと思います。

 筬がなければ織物もないということを肝に銘じて竹筬復活と金筬の存続を願い研究会の活動を進めていきたいと思います。




(2014.02.21 下村輝 記)
第10回「試作竹筬と織布展」




2014年1月21日(火)〜26日(日)

09:30~18:00
(入場無料)



会場:市民ギャラリー栄 第8展示室

http://www.bunka758.or.jp/scd18_top.html

(地下鉄栄駅下車 12番出口より徒歩3分)

名古屋市中区栄4丁目1-8
中区役所朝日生命共同ビル8階
052-265-0461

下村(竹筬研究会会長)ケータイ:090-3868-2157






内容:試作竹筬による織布(作家、会員)
   会員製作の竹筬
   竹筬製作工程と道具
   外国を含む様々な竹筬
   会員による実演と解説
   竹筬の診断と修理(預かり修理は実費)




■試作竹筬による織布の出展予定者(敬称略)

・沖縄県宮古織物事業協同組合(宮古上布)
・神樹工房:神里佐千子(宮古上布・沖縄県宮古島市)
・花城キミ(沖縄県小浜島)
・大城廣四郎織物工房:大城一夫(琉球絣・沖縄県南風原町)
・新垣幸子(八重山上布・沖縄県石垣島市)
・大城拓也(沖縄県南風原町)
・西筋ヒデ(沖縄県多良間島)
・上原美智子(沖縄県南風原町)
・久米島紬事業共同組合(沖縄県久米島町)
・甲木工房:甲木恵都子(郡上紬・福岡県那珂川町)
・遊生染織工房:築城則子(北九州市)
・大和恵子(小倉織・北九州市)
・内田千鶴子(小倉織・北九州市)
・織らぼ・こたに:小谷るみ(別府市)
・加藤奈弥(博多織デベロップメントカレッジ)
・箕田晶(博多織デベロップメントカレッジ)
・三苫友莉(博多織デベロップメントカレッジ)
・松枝哲哉・小夜子工房(久留米絣・福岡県)
・工房ゆみはま・田中博文(弓浜絣・鳥取県境港市)
・広瀬絣工房・永田佳子(島根県安来市)
・丹波布伝承館:廣内民(木綿織物・兵庫県丹波市)
・都機工房:志村ふくみ・洋子(京都市)
・志賀松和子(絹織物・京都府和束町)
・ゆうづる会(松阪木綿・三重県松阪市)
・原千絵(絹織物・岐阜県郡上市)
・佐野節子(美濃縞木綿・岐阜県)
・森有季野(美濃縞木綿・岐阜県)
・早崎祐子(岐阜県安八郡)
・手織り工房・和:磯緋佐子(絹織物・名古屋市)
・土川千賀(尾張木綿伝承会・愛知県)
・間瀬邦子(絹織物・愛知県豊田市)
・小林佐智子(木綿織物・愛知県武豊町)
・萩野光代(尾張木綿伝承会・愛知県)
・菰田眞理子(木綿織物・愛知県)
・宗廣佳子(絹織物・長野県東御市)
・大髙美裕紀(絹織物・神奈川県南足柄市)
・宗広尚子(あしがら紬・神奈川県南足柄市)
・佑工房:佐伯恵(東京都)
・小熊素子(絹織物・東京都)
・浅沼米子(黄八丈・東京都)
・薦田綾子(木綿織物・山梨県北杜市)
・唐仁原ますみ(川越唐桟・さいたま市)
・石塚美枝子(さいたま市)
・山田春子(川越唐桟・埼玉県川越市)
・小室正子(木綿織物・茨城県水戸市)
・手織の仲間さくら・木内正子(木綿織物・千葉県佐倉市)
・繁藤道子(木綿織物・茨城県小美玉市)


会員作品 約10点


■会員による筬羽作り実演と解説
 10:00〜11:00、13:00〜14:00

■竹筬の診断と修理
 ☆会場に竹筬をご持参ください☆ 
 旧・日本竹筬工業(株)技術者である大橋滋さんによる古い竹筬の診断(筬羽差換え・筬組替え)
 ※その場での修理(羽の差換え)以外は、実費となりますのでご相談ください

■ ビデオ上映
 旧・日本竹筬工業(株)の竹筬製造
 筬作り研修、沖縄などのワークショップの様子



■■■


主催:日本竹筬技術保存研究会(竹筬研究会)
後援:名古屋市



 竹筬研究会が設立され、研修を重ねて約10年、その間には旧・日本竹筬工業の技術を教えいただいていた職人さんが亡くなられたり、ご高齢でお教えいただくことが困難になりました。また、竹筬羽の検査がお願いできなくなりました。しかし、その間には試作竹筬も製作でき、約40名の染織家の皆様に試織をしていただき、「試作竹筬と織布展」を9回実施、来年1月には第10回を開催いたします。技術的な伝承には、まだ少しの不安定的な要素はありますが、今後の研修の積み重ねでクリアしていきたいと思います。

 ただ、10年間続けてきて、毎年悪くなっている一番の問題、良質の竹材確保を解決しなくてはいけません。以前の安心して使えた九州福岡の竹材が全滅、その後の京都産も期待はずれ、地元の竹切り職人さんによる岐阜産や、竹林管理を依頼している奈良県の竹材は、まだ結果が出ていません。竹切り職人さんや竹加工職人さんの問題、温暖化による真竹のかたさ不足や密度の粗さによる粘り強さ不足など日本の山や竹林がかかえる問題点が竹材の良否に直結、いま研究会最大の課題で問題です。

 素材の竹材が良くなくては技術も十分に生かせず、結果的にその製品も決して良いものにはなりません。技術が向上し、素材の良否が少しわかるようになり、ここ2、3年は竹材探しが研究会の大切な課題になり、その加工が研究会の仕事になり、新しい加工機械が2台入り、丸竹から竹ベラまでの加工はもう少しでクリアできそうです。

 一番大切な原料竹を得るため、いま竹筬羽製造に一番近く、まだ多く生産加工され参考になり、場合によっては代替できる可能性のある京扇子の扇骨(センコツ)の素材竹材店を最近訪問、真竹で硬い竹材ということでは共通でしたが、芸能用の特殊な厚い扇骨加工所で筬羽用の0.3mmといった薄い加工は不可能で、筬羽並みの薄い扇骨加工を得意とする島根県の情報を得て連絡を取りましたら、今の扇骨は孟宗竹で薄羽に加工、粘り強く割れにくい真竹での扇骨は必要性がなく、加工技術的には可能でも素材的には期待はずれ、ただ希望すれば真竹を切り加工試験という返事で11月に島根を訪問し、竹筬が必要とする竹材の質を正確に伝え依頼しようと思います。


(2013.10.23 下村輝 記)




※次回の「絹通信#35」の掲載は4月号の予定です※









 8月16日〜18日に約10年前に別府の竹工芸の訓練所で勉強、その後、別府の工房で竹細工の仕事を続けている会員が講師として岐阜の研修場に来てくれました。鉈による丸竹割りから、刃物による竹剥ぎ工程の実演とその他の実演もしてもらい、その技術、正確さ、無駄のない作業に、10年間の経験と仕事を感じます。

 今、私の竹材加工の機械の調整についても、彼女から経験に基づくアドバイスを受け、その一つ、8mm幅で形だけは、ほぼ正確に2枚の刃物で取れていたのですが、彼女の指摘で、竹材の繊維の流れまで見ると、流れに逆らい、無理矢理に幅を8mmにそろえたという結果、形は合格でも質では不合格です。ここは日本竹筬の原点に戻り、1枚の刃物での幅取りに機械を改良しようと思います。しなやかさ、粘り強さ、割れにくさという竹筬羽の一番大重要な基本を考えますと、日本竹筬の工程は無駄がなく、理にかなっているとあらためて認識いたしました。私の機械化についても、このことを忘れず改良と調整をしていこうと思います。彼女にも今後のこととして、筬羽引きにも挑戦してみないかと提案、挑戦するとの返事、心強い協力者がまた1人増えました。


(2013.08.21 下村輝 記)




 24年度の一番の問題は竹材の質、25年度もこの事が一番重要な課題です。将来的には、自分達で竹林の整備と管理をし、切り出しまでしないと、竹筬に適した竹は入手困難になるのではと思います。さて、丸竹から竹ベラまでの加工ですが、8mm幅での竹割りは簡単に加工、次の正確な幅取りと約1mmの厚み加工に今少しの機械調整が必要です。自分達で竹ベラ加工することになり、以前の節間の長さで選別していた竹材から、竹の太さ(直径)で選別することが可能になり、絹用の千○以上のうす羽に径の太い竹、木綿用の千○以下の厚羽には、比較的径の細い竹での竹筬羽という選択加工が可能になり、今まで職人技でカバーしてきた加工技術を原料でカバーする、今までになかった竹筬の質を高める加工の仕方です。研修を重ね、技術修得をしつつ、その技術の機械化も合わせて進んでいきたいと思います。



(2013.06.21 下村輝 記)
  


 25年度の竹筬研究会の事業が始まりました。研修日は第1と第3の土曜日午後1時より岐阜県瑞穂市の研修所です。入会及び研修見学は歓迎です。事前連絡の上、研修所へお出かけください。

 さて、昨年度は原料の竹材に悩まされた1年でした。以前の九州の竹が寸法と質的にほぼ全滅、京都の竹も期待外れ、唯一、地元岐阜県の竹切り職人さんに切り出していただき納入した竹材に少し光が見えつつあります。その丸青竹を荒引きの一歩手前、あるいは調整次第で荒引きまでの機械化が山口県より購入した2台の機械で、ほぼクリアできそうです。ただ竹材をどのように乾燥のことも含めて処理するのが筬羽にとり一番良いことかは、今後実験を重ね検証していくべき課題です。

 また、会員の竹筬羽検査をしていただいている特別会員・豊田義雄さんの基準1/100mmの精度は、残念ながら去年はほとんど合格がいただけず、結果として試作竹筬の本数も少なく、あわせて竹材の質も悪く、結果が出せなかったのですが、義雄さん以前の2/100mmの甘い基準に戻るのではなく、1/100をめざし、文化庁から要望されている宮古、越後等の織物産地の職人さんの要望にも耐えうる精度を目標に、竹材の吟味を技術の研修に努力を重ねたいと思います。



(2013.04.19 下村輝 記)







 2月8日、岐阜県の竹切り職人・岡さんに1月に切っていただいた長尺の丸竹が入荷、岡さんを含めた会員有志で節を落とした竹筒にする作業で、これには去年購入した押し切りタイプの電動丸ノコが威力を発揮いたします。私は12月に届いていた山口県の竹加工機械メーカーの電動の幅割り機と一定の幅取りと厚み剥ぎが一度にできる機械の調整運転を初めていたしました。半割りした丸竹を幅割り機で8mmに割り、次にその8mm幅の竹を幅取り6.5cm、厚さ約1.2mmに剥ぎ取る作業で、結果は初めてにしては十分すぎる結果、まだ調整や機械的に工夫をして改良すべき点はありますが、竹材として十分精度の高い原材料が自分達の手で作り出せる手応えを感じました。今まで竹材店が加入し入荷していた竹材が、自分達で加工しなくてはいけないことになり、新たな作業が増えたのですが、その分、原材料から吟味し選別して加工して使用できる利点は、増加した作業以上に竹筬にとって良い結果に繋がることだと思います。

 2月16日の研修日に昨年依頼していた京都府の竹材2500本が入荷、検品したところ、3割に幅不足や割れ、信じられない結果で、これで竹材店よりの竹ベラはほぼ全滅です。竹林に人手が入らず、竹切り職人さん、加工職人さん、竹材店の連携が十分に取れておらず、規定の寸法品が納まらない竹材の現状に失望いたしましたが、原料が良くなくては、良い製品はできないとの思いで、竹材店には頼らず、切り出し職人さんとの連携を大切にし、勉強させていただき、将来的には自分達で良い竹材を選別できる目と切り出せる能力を身につけないといけない時代になる覚悟で、今後はやっていこうと思います。

 今年度は良い竹材を選び、技術の精度を上げること、私の仕事は竹材加工の機械化と次の工程の精度を必要とする義雄さんが製図を書き製作され機械化された荒引き以後の機械の復活です。千四の竹筬羽の機械をされた精度の高い義雄さんの筬引き機械を目指したいと思います。まず山口の2台の機械を使い精度の高い幅6.5cm、厚さ1.1mmの原材料の竹ベラ作りから始めたいと思います。



(2012.02.21 下村輝 記)











 我々が教授いただいている旧・日本竹筬工業の竹筬羽作りの加工手順は、竹材店で幅16mm、厚み2.8mmの竹ベラを約4種類の規定の長さに切りそろえ、500本を一束として送られてきます。それを簾状に竹編みし天日乾燥→二つ割りで8mm幅→荒引きで約1mm強の厚み→幅取りで約6.5mm幅→二番引き→皮取り→上引き→羽揃え→羽切りと進みます。ここまでが工程(1)で、工程(2)が竹筬羽の仕上げ加工、工程(3)が組上げ加工で竹筬が完成いたします。

 その工程(1)の前の良質な竹筬と竹材加工が困難になりました。日本の竹加工や竹工芸が衰退した結果、竹林が荒れ、竹切り職人さんを始めとしての後継者問題など、多くの課題はありますが、幸運にも地元の岐阜県で竹切りだけの職人ですが出会え、昨年より竹材を切り出し、今年もまたお願いしました。したがいまして、切り出され節間が5〜6ヵ所ある長い丸竹の竹ベラまでの加工は研究会がしなくてはならない状況、そこで山口県萩市の竹加工機械メーカーに発注、先週3度目の萩市訪問になりました。

 竹切り職人さんから送られてきた長い丸竹を電動丸ノコで節を落とした円筒の竹筒にいたします。その竹筒を二つ割りして加工機械に掛けます。まず、規定の幅に小口から割っていく機械、クランクにより刃が落ちる構造の幅割り機で、本来は16mm幅の竹ベラを二つ割りにして8mm幅にしていましたが、この機械では最初から8mm幅で割れ、二つ割りの手作業が機械化できました。次の荒引きと幅取り工程は2台目の機械、厚みを2.8mmに竹を剥ぐことと幅取り約6.5mmは正確に取れ、剥ぐ厚みも試験では約1.5mmの厚みまで、ほぼ正確に剥ぎ取れていましたので、調整次第では、荒引き工程を省略でき、いきなり一番重要な二番引きに入れる可能性もある今回の機械です。青竹の半割した丸竹を、この2台の機械で加工できますと、竹編みし約1ヶ月間天日乾燥していた工程と時間が短縮でき、作業も楽になり、場所も広くはいらないことになり、原材料で湯炊きして油抜きをしていた工程も、この薄い竹ベラで処理しますち大変省力化できることになります。機械の設置は1月に入ってからですが、大いに期待しています。




(2012.12.20 下村輝 記)



 25年度国宝重要文化財等保存整備費補助金申請のために基本活動を検討する季節になりました。今年一番力を入れたことは竹材、今まで入荷していた福岡の竹が毎年悪くなり、ご高齢で最後の切り出し職人さん(竹材店を通してのお話しで、直接の面識はなし)が人手の入っていない竹林より、3〜4年以上の真竹で、組織の密なねばり強く堅い竹を選別し、切り出す作業は大変で、さらに等研究会の幅と厚みと長さの竹ベラに加工し、1束500本で送っていただいていましたが、その500本の半数が幅不足や厚みの厚すぎ、皮に傷が入っていたりで、この竹材は練習用、自分用の筬、タテ糸本数1000本以下の筬密度の粗い木綿織物の試作竹筬用と限定しています。昨年11月、12月に切り出したNPO法人の奈良の竹、地元岐阜県の竹切り職人の竹、どちらも節が5〜6ヵ所の長竹で丸竹での入手です。電動丸鋸で節を落として円筒形の丸切り、それを16mm幅に割り、厚さ3mmに剥ぐ、本来竹切り職人さん、または竹材店が加入する作業が会員の作業として加わりました。これを今は会員の手作業でしております。

 次に力を入れたことはこの作業の機械化です。現在山口県萩市の竹加工機械メーカーと交流、山口行きが一つ加わりました。機械化の第一段階は円筒形の丸形の丸竹を規定の幅に割る機械、次は二つ割りと厚み3mmに剥ぐ機械でほぼ目処がつきました。ここからが本格的な機械化で、荒引き→二番引き→皮取りまでの義雄さんが使用され破棄された機械の再現で省力化と精度を目指します。竹材は、まだ乾燥具合も含め、処理方法を模索中ですが、最近の九州の竹よりは、岐阜、奈良の竹には手応えを感じております。さらに一段の向上を目指し、新たな竹材店にも今年11月以後の竹で切り出しをお願いしました。

 また今年入会の若い世代の研修生の参加は心強い限りで、後継者育成という観点からも、研修と研究を積んで、旧・日本竹筬工業の技術を次に伝えたいと思います。

 今年度、竹筬研究会では、全国の染織組合や団体で染織研修生を育成されている所に対し、3枚程度の試作竹筬を提供し、この10年間入手できなかった竹筬になじんでいただき、竹筬の良さを再認識していただけるよう活動してきました。25年度も同様の方向で進めていきますので、染織研修生を育成されている組合および団体は、竹筬研究会へご相談ください。


(2012.10.23 下村輝 記)


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